クレームで泣いた日【後編】

整体院ボディーケア松本の「整体」以外担当 松本圭太です。

 

【前編をお読みでない方は前編からお読みいただくと内容がよくわかると思います】

 

目次

飛び交う怒号

電話の向こうで男性客の「お前が来い!」「どうすんねん!」という怒号が飛び交うなか

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僕はなんとか電話口のお客様(ママ)に

「今、僕が出来ること」と

「どうしても僕が出来ないこと」

を伝えました。

 

例えば、

3日後ではなく何とか明日にでも

訪問出来ないかをサービスマンに

交渉することは出来ます。

 

その結果を翌日朝一で

連絡することは出来ます。

 

例えば、

今日は仮に訪問したとしても

修理部品がないので修理をする

ことは出来ません。

 

まして、僕自身は

機械の修理自体出来ません。

 

そういったことを伝えたうえで

次に僕の気持ちを伝えました。

 

こんな時

マニュアルは何の役にもたちません。

 

僕はそれまでに何度も発していた

「申し訳ございません」が

何に対しての

「申し訳ございません」かを

ひとつづつ分解して改めてお伝えしました。

 

当然、製品でご迷惑を

おかけしていることに対しての

「申し訳ございません」

 

お客様(ママ)の

大切なお客様へ残念な

思いをさせたことに対しての

「申し訳ございません」

 

お客様のために

なんとかしたいという

ママの気持ちにお答えできない

ことに対しての

「申し訳ございません」

 

お客様(ママ)と

そのお客様(男性客)の

気持ちや思いを考え

 

ひとつひとつに

意味を持って

気持ちを込めて

「申し訳ございません」

を伝えました。

 

その時、ママは冷静に

『うん、うん』と返事をしてくださいました。

 

すると、そのとき突然

 

ママが『もうええ!!』と叫びました。

 

・・・・驚いたことに

この『もうええ!!』

は明らかに僕に向かっての

言葉ではありませんでした。

 

その瞬間

今まで電話の奥で

聞こえていた男性客の

声(ヤジ)がピタッと止みました。

 

そしてママが僕に

語り掛けるように言いました。

 

『お兄ちゃん、すごいな。ごめんな。

アンタが悪い訳じゃないのに。

ちゃんと気持ちは伝わったわ。

アンタが出来ることを精一杯してんのに

私も人のせいにばっかりしてられへん

私も出来ることするわ・・・』

 

そしてママは受話器を顔から離し

目の前のお客さんにこう伝えました。

 

『この人はプロやわ。

自分が悪い訳でもないのに

ちゃんと私やアンタたちのこと

真剣に考えてくれてる。

・・・・

今日は熱燗もあったかいもんも

ないから嫌なら帰って。

その代わり

あるもんは

飲み放題食べ放題でええわ!!』

 

ワー、と歓声と拍手が聞こえました。

電話口でママが言いました。

 

『みんな許してくれたで』

 

その言葉に、

胸がジワーっと熱くなるのを感じました。

 

その後、翌日のお店の営業前の

15時ごろに修理に訪問できるよう

手配する約束をして電話を切りました。

 

電話を切ったのは終業時間を

1時間過ぎた20時前。

 

すでに皆、仕事を切り上げており

周りに誰もいなかったこともあってか

ツーっと涙がひとすじ流れました。

 

ホッと安心した涙なのか

優しさに触れた涙なのか

無力さを感じた涙なのか

その全部なのか

自分でもよく分かりませんでした。

 

その後・・・

翌日、サービスマンに事情を伝え15時訪問を快くOKしてもらえたので、その結果連絡をするために再度、ママに電話をしました。

 

ママからはお礼の言葉しか出てきませんでした。

 

昨晩のお客様はママが断ったのに、いつもより多くお代を支払われたそうです。

 

あの後に店に入ってきたお客様には、怒声をあげておられた皆さんが、ママの代わりに丁寧に事情を説明していたそうです。

 

なんだか光景が浮かんできて、「あぁ、いいな」と思えました。

 

いいお客さんの集まる、いいママのいるお店なんだろうな。

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そんな僕の思い出の電話対応のお話でした。

 

 

あれから何年経つだろうか・・・。

 

そんなこんなで

いま、僕はそのママのお店の常連です。

 

 

・・・なんて言えたら

 

いい締めになるんですが、

実際にはどこにあるお店かまでは分かりません。

 

いつか大阪のどこかにある

この店でこのママに出会えたら素敵だな、なんて思ってます。

 

投稿者プロフィール

松本 圭太
松本 圭太
大阪で活動するフリーランスのコピーライター。
「クレーム対応」、「趣味のプロレス話」、「子供との楽しい日々」を綴る当ブログには隠れファンが多い(隠れなくてもいいのに・・・笑)

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